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”らしさ”を身につけよう

私の住んでいる道南の田舎町は、「今年は夏がないの?」という位、気温の低い日が続きました。

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30度を越える日は一日もなく、とうとう扇風機をまわす事もなく終わったというわけでした。

ところが9月に入りましたら、やっとその夏がやってきたような日が続いております。

9月に入ってから半袖のTシャツ、短パンなんていうかっこうをしたのはあまり記憶にありません。

北海道の一般家庭には、冷房設備はほとんどありませんから、窓を網戸にしたり、扇風機をかけたりというていどです。

毎朝、8ヶ所の窓を網戸にするのが、私の朝の日課ですが、風がない日はその効果も期待できません。7月、8月の真夏にストーブをたいて、今、夏のかっこうをするなんて、これも異常気象というのでしょうか。

やはり夏は夏らしく、秋は秋らしくというように、”らしさ”というのが一番いいですね。


季節に限らず、近頃はあらゆる面で”らしさ”が失われてきているように感じます。その結果、さまざまな問題が起こっているように思われてなりません。

毎日報道されるニュースを知る時、ただただ、驚きと失望におそわれるのは私ばかりではないでしょう。

かっての日本は、男は男らしく、女は女らしく、親は親らしく、子供は子供らしく、先生は先生らしく、生徒は生徒らしくあれといわれ、実際にそうあらねばならないと、みんなして何かしら心に留めておりました。

お互いにそうした”らしさ”を大切にする事こそが、それぞれの役割意識や責任感の芽生えにもつながり、世の中がうまく成り立っていくといえるのではないかしら。

今日もテレビで、警察官が盗みをした、先生が同僚のサイフを盗んだというニュースがありました。「盗み」をしないように見回り、指導する立場にあるべき警察官や先生は、絶対に盗みをしてはいけないんです。

だからといって、24時間いつも、”らしさ”を持たなければならないとは思っておりません。

私はホテルの従業員食堂のおばさんです。出勤すると裏口の玄関でタイムカードを押し、すぐにエレベーターで地下の食堂に下りますので、お客様と顔を合わす事はほとんどありません。

フロントマンやメードさん達のように、表舞台でお客様に接する人達を、かげで支えるのが、裏方の仕事だと思っております。

緊張感の中で仕事をし、お腹をすかした皆さんは、「あーつかれた。おなかもペコペコだよ、おばちゃん」という姿は、もう”らしさ”をぬけて、一人の人間としてのありのままの姿です。

「おつかれさまでした。今日は○○さんの大好きなカレーですよ。たくさん食べて下さいネ」と声をかけます。大きな声で「いただきます」。「はい、どうぞ」。

従業員食堂のおばさん”らしさ”は、何も食事を作る事ばかりではなく、従業員の皆さんが、何よりもくつろいで食事をいただけるように、心を配ってあげる事だと私は思っています。

食事を終え「やっと生きかえった。おばちゃん、おいしかったよ」という所までは、まだ”らしさ”は戻っておりません。
イスの背にかけたスーツの上着を着て背をスッーとのばし、「ごちそうさまでした」と帰るその後姿は、もうホテルマンらしいみずからのあるべき姿に戻っています。

私達も今一度、自分のおかれたあるべき姿に立ち返り、果たすべき役割、とるべき態度に思いを致してみなければならないと思います。

そして本来の”らしさ”を発揮して、自分の役割を忠実に演じて生き抜く、心の健康を守りたいものだと願っております。

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