今、中高年から若い年代の人たちまで、最も心配されている脳の病気といえば、認知症(いわゆるボケ)ではないでしょうか。
最近では、20~40代といった比較的若い人でも、物忘れに悩む場合が少なくないと聞いております。
そうでなくとも、年を取るとともに物忘れが多くなってきます。自分の物忘れが単なる加齢によるものか、あるいはアルツハイマー型などの認知症によるものなのかと、不安に思っている人も多いと思います。
誰にでも起こる加齢による物忘れは、体験したことの一部を忘れるというものです。認知症の場合は、体験のすべてを忘れてしまうと言う事の違いがあるのです。
たとえば、食事で何を食べたかを忘れる事は、健康な人でもよくある事で、心配いらずの物忘れというわけです。しかし、食べたこと自体を忘れる場合には、認知症が疑われるボケの前ぶれとなります。
認知症と加齢による物忘れ。この二つの最も大きな違いは、一口でいえば、認知症では日常生活に支障があり、加齢に伴う物忘れでは、ほとんど支障がないという事です。
では、物忘れを防ぐにはどうすればいいのでしょうか。
物忘れは脳の老化が原因で起こります。脳の老化は脳細胞が減ることで起こりますが、これは何も年を取ることだけが原因ではないのです。
脳細胞の減少には年を取ること以外に、視覚・嗅覚・聴覚・味覚・触覚という脳の五感の衰えが深く関係しているのです。五感を常に働かせて生活している人は、脳細胞の減少も少なく、いつまでも脳を若々しく保つ事ができるのです。
私たち現代人は、あまりにも便利な日常生活の中で、五感をフル活動しなくとも生きていけるようになりました。それと共に人々は無関心になり、道ばたに咲くかれんな花にも目をくれず、感動を呼ぶ音楽にも耳をかそうとしない人が増えているように思います。
目や耳などの器官を日常生活の中で意識して積極的に使うようにすれば、すでに老化して物忘れが気になっている人の脳でも、若返らせることは十分可能なのです。
道ばたに咲いた花を見てにおいをかぐ、窓の外で風が吹く音に耳を傾けてみる、星空を眺めるといった、こんなささいな行為で五感を働かせる事が、脳を若返らせるためにとても重要なのです。
物忘れを防ぐにはどうすればいいか。それは目で見るだけではなく、同時に音で聞いたり、手で触ったりして、情報を脳のあらゆる部位に取り入れれば、その情報がより強烈に鮮明に記憶され、忘れにくくなります。
何かを覚える際に、目で見るだけでなく手を使ったり声に出したりしましょう。
たとえば、鍵をバッグの中に入れる場合でも、バッグの中の鍵を目で見ると同時に指をさして、「鍵を入れた」と声に出していってみて下さい。すると脳のさまざまな部位に記憶が保管されるため、物忘れをする事はずい分減るはずです。
さらに何かと関連付けて記憶する方法もあります。
高松さんという名前を覚える時に、「四国にある都市と同じ名前の高松さん」という具合に、声にだしていえば、さらに忘れにくくなるでしょう。
「年を取ると物忘れが起こるのは当たり前」という考え方はもうやめましょう。むしろ、何かと関連づけて覚える時、若者よりも人生経験が豊富で、知識の量も多い中高年こそが断然有利のはずなのですから、物忘れの解消に努めてみませんか。