心の健康:「江戸しぐさ」に学ぶ事
とつぜん私ごとで恐縮ですが、先日こんな事がありました。
私は毎日バスで通勤しているのですが、次の停留所で降りるのにボタンを押そうとしましたら、ボタンの位置が少し離れた所にありました。
前の座席の人の所にはすぐ近くにありましたので、見ず知らずの人ですが、「すみません、ボタンを押していただけませんか。」と声をかけました。
中年の女性でしたが、「私が押すんですか!」と睨みつける様にして、それでもボタンを押しては下さいました。
「お手数をおかけしてすみませんでした。」とお礼を言ってバスを降りたのですが、その人はそっぽをむいていました。
「これが今の世の中の姿なのか」と、胸の内が凍りつく思いが致しました。
こんな世の中だから心の病を患っている人が多いのだろうと思います。
そして思うのです。
遠い昔、江戸の人達は、”お互い様”の精神で皆と気持ちよく生きる「心意気」を持っていたと聞いております。
それが「江戸しぐさ」として知られているものです。
往来ですれ違う際、傘からしたたる滴で相手がぬれないようにサッと傘を外側に傾げる[傘かしげ]
乗り物に人が乗ってきたら、先客が腰をこぶし一つ分ずつ浮かせて詰める[こぶし腰うかせ]
人間は平等だ、身分に捉われず互いにあいさつをしようぜと[会釈のまなざし]
人を色メガネで見ないためには、年齢・職業・地位を聞かない事を守った[三脱の教え]
足を踏まれた時、踏まれた人も謝る[うかつあやまり]
踏もうと思ってふんだわけじゃない。
恐縮している人に「とっさに足をさけられなかった私もうかつでした、すみません。」という感じのしぐさをすれば相手はホッとするし場の空気も和らぎますよね。
競争社会の中で人の道を見失った現代人。
そんなギスギスした世の中に疲れ、心を病んでいく人達の何と多い事か。
今、「江戸しぐさ」が少しずつ見直されていると知り、心があたたかくなってきました。
日本には「健全なる精神は健全なる肉体に宿る」という、格言があるんですよ。